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2015年04月24日

【短期連載】艦これについて雑感・後編

さて、それではお待ちかね(してない)であろう、艦これに関する雑感、後編です。
余計な話はしないで、いきなり本題だ!!
今回もメチャ長いうえに、ややこしいぞ!!




■販売戦略について

今回はおおむね語りにくいであろう、こっち(¥)のお話をしたいと思います。
これは、細かく見ているとものすごく長くなってしまうので、ポイントを絞って見ていくことにしましょう。
長くなりすぎてしまったので削ったとも言う。

はじめに、大筋といいますか、大枠の結論だけできるだけ正確な表現で提示します。

そのためにまず、判っていることを箇条書きにしてみました。

・広告ローラー作戦
・社会規範の有効活用
・基本無料!ほぼゲーム内全コンテンツ無料!
・収益のメインはゲーム本体からでなく、周辺グッズその他から
・メディアミックス

後半二つは重複しているように見えますが、とりあえず気にしないで下さい。
これら私の目に見えているポイントを総合して考えた結論は、

艦これ

”ソーシャルゲーム”のような
”多数美少女キャラのいるコンテンツ”を、
”従来型メディアミックス戦略そのもの”
”バイラルマーケティング”
”大きな規模”で巧みに行ったもの」


ではないかと考えています。

メディアミックス戦略については、私は広告宣伝のプロでもないですし、たかだか数年エロゲーを作っていただけなので、おそらくその辺りはもっと上手い考察をしてくれる人がいると信じて放棄します(他人任せ)
まぁ、お金をかけたぶんだけコンテンツは伸びる、程度の認識でいいんじゃないでしょうか、そこは。
多分それで合っています。
多数美少女のいるコンテンツ云々は、単純にキャラの数が多いので、大きなコンテンツと化したとき、偶然プラスに働いたというだけです。狙った可能性もありますが。


というわけで、ここは一つ、卑近で考察しやすい部分にのみ絞って考えてみます。
そう、バイラルマーケティングという部分ですね。
社会規範の有効活用と、無料コンテンツのシナジー効果です。
これはまず、初期のスタンスなどから見ていく必要があります。

艦これが開発にそれほどお金をかけていない(と少なくとも私の目にはそう映る)のは、初期の段階でどれだけ成功するのか判らなかったのが大きな理由かもしれませんが、それは結果的に建付けとして、ゲーム本編で満足できない部分を提供している周辺の漫画やアニメなどへと人々の欲求をかりたて、二次創作のエネルギーを生むといった状況を生じさせています。

実は二次創作というものは、社会規範にかなり近い部分をたゆたっている存在で、これが次の話のポイントです。

※社会規範と市場規範については、ダン・アリエリー氏の著書など(たとえば、「予想通りに不合理」ISBN-10: 4150503915、ISBN-13: 978-4150503918など)がわかりやすいと思いますので、あえて解説はいたしません。そちらをあたられると良いでしょう。

まず二次創作が商業として認められていないのが重要な点で、金銭のやりとりはあるのに「市場規範で売りつけられたものでない」コンテンツとして、多くのユーザーは受け止めており(これは多くの同人漫画・絵描きが、インターネット上に無料のポルノを提供していることが大いに関係しています)、このことがユーザーのコンテンツへの”参加感”を醸成し、仲間内でのコンテンツの掘り下げを活発化させ、もちろんこれを黙認することで、コンテンツホルダーである開発運営への心象もよくなります。
結果、良コンテンツとしてバイラルマーケティング的に、人から人へゲームの輪が広がっていきました。

この心象が良くなるということと、艦これがほぼ無料ということ、またそうであるにも拘らず開発のこだわりが随所に可視化されていること。
これらが上手く絡み合っているのが非常に巧妙で、初期戦略は完全に成功したと言ってもいいのではないでしょうか?


少しむずかしい文章が続いたので、噛み砕いて、当初から見られた一般的なユーザーの心理の流れをフローにするとこうなります。

何か艦これとかいうのがあるらしいぞ

(ゲームをプレイする)

意外と面白い!所々穴や建付けの悪い部分があるとはいえ、こんな萌えゲーがタダで提供されている。開発も頑張っている。なんて有難いんだ。

この気持ちを友達と共有しようor二次創作などはないだろうかorこれで二次創作したら人気出るかな

○○ちゃん可愛い、可愛くない?orこの人の○○ちゃん最高!or艦これで僕・私の絵が沢山の人に見てもらえる!

やべぇ、このゲームこんな所にまで拘ってたの?

(コンテンツの掘り下げが進む)

プレイしているだけで嫁と逢える多幸感



大体こんな感じです。


なにかもう、ほぼ解説が終わってしまった感はありますが、乱暴な言い方をしてしまえば

「広告宣伝費を使って試しにブラゲを頑張って流行らせようとしたら、様々な要素が有機的に絡み合って思いのほかうまく行ってしまったので、さらにお金をかけて一大コンテンツにした」

というのが実態なのではないでしょうか?
予想の域を出ませんが。
間違っていたら申し訳ありません。

角川さんなのかDMMさんなのかは存じ上げませんが、本当にお金の使いドコロが上手かった、機を見るに敏だったと。
やはり、他のコンテンツを見ていてもそうですが、想定外にコンテンツが受け入れられている場合、そこに適時お金を投入できることが、コンテンツの成功の鍵のように思います。

コンテンツを作る場合、こういった成功例をぜひとも分析し、真似していきたいものです。




さて、終わりに余談です。
艦これが成功したコンテンツであることは誰の目にも明らかですが、人が増えてしまったがために、いろいろな意味での粗や、人と人との衝突が各地で見られるようになってきました。
それだけではなく、アニメも一段落し、現在コンテンツは中盤にさしかかっているように見えます。

この状態にあるコンテンツを長く保たせるには、何をしたらいいのでしょうか?
一つには、定期的に大本のコンテンツを積み増して、徐々にコンテンツを消費していくのが正道ですが、これも限界はあるでしょう。

今回の趣旨から離れるので語りはしませんが、ヒントは、ブランド化と、世界観化、キャラ人気から実在の人物人気へのシフトなどです。
うまく人が分散していくことで、パイ自体を大きくすることが可能かもしれませんし、今起きている諸問題のいくつかは解決するかもしれません。


というわけで、長々とお疲れ様でした!
本当は、それぞれ細かい部分にもちゃんと理由付けをして考察しているので詳説したいのですが、何分私はただの絵描きであって、学問の徒ではあっても専門家ではありません。
この記事でも間違った部分はあるでしょうし、全てを書くと一冊本が出せるような分量になってしまいますし、本業にも影響します。

読みにくい部分が多々あったであろうかと思いますが、コンテンツを見る上で少しばかり、視点を支える足腰の養分にでもなれたら幸いです。


次の更新は、おそらくちゃんと絵をお見せできるでしょう。
それでは、また何かの機会にお会いしましょう!!

美少女ゲームの歴史が、また1ページ……。
タグ:艦これ
posted by おちんさま at 18:00| Comment(2) | 読み物
この記事へのコメント
「これいいなー」で楽しんで普通は終わってしまうところを
「なんで面白いんだろう」等と様々な切り口から分析するのは、クリエイターとして大切ですね!
見習わねば。

ユーザーさま間の妄想で設定が膨らむのも面白いものです。
またバイラルマーケティング……クチコミで友人からススメられても
鯖が満員ですぐにゲーム開始できないトコもなかなかニクい気がしますw

艦これも中盤ということですが、やがて一つの時代が終わり、
美少女ゲームは新たな伝説の幕開きを迎えるのでしょう。
Posted by n at 2015年05月01日 04:17
>>nさん
悪いところって、作った人にもそうでない人も見えている事が多いのですよね。
なにが成功の鍵になったのか、そこを考えることが建設的なのではないかと思っています。

私の目には、艦これは非常な幸運を上手くすくい取ったいいコンテンツだなーという感じにうつりましたねー
Posted by おちんさま at 2015年05月07日 12:41
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